客観的に見て現代の日本ってディストピアじゃない?とか考える週末の夜

さて、ハーモニーの映画を観てきた。Project-Itohとかいう爆笑必死の企画名はさておき、純粋に一人のSFファンとして伊藤計劃は好きだったので。
伊藤計劃好きはニワカだの、本当のSFを分かってないだの言われるけれど、そんなのはどうでもいいだろ、といつも思う。
同じ作品を読んで楽しめる読者と楽しめない読者がいるとしたら、いつだって勝者は前者だろうに。
たとえそれがSFでも純文学でもラノベでもケータイ小説でも。


ハーモニーに話を戻すと、原作を読んだのが確か大学2年生の頃なのでもうかれこれ4年程昔の話になる。

なので正直、すっかり話の筋を忘れていた。
大体の世界観とか結末だとか、そういう大きな流れは当然覚えていたのだが、「たしかバッドエンドで終わる作品だったよなあ」くらいの記憶しかなく、ようするに当時のボクにとってはせいぜいそれくらいのレベルの作品だったのだ。
伊藤計劃の作品の中で一番最初に読破したにもかかわらず、その後に読んだ虐殺器官屍者の帝国のほうが好きだったし。

でも映画はとてもよかったと思う。屍者の帝国も良かったけれど、あちらはあくまで原作が最良で「まあ補完的な位置づけとして映画も良かったんじゃない?」くらいの評価だったのだけれど(いや、いい作品だったのには変わりはない)、ハーモニーに関しては純粋に娯楽作品として小説よりも映画のほうが優れていたように感じた。あくまで個人的な感想だけれども。

ハーモニーは科学が非常に発展している世界を描いた作品なので、ようするに「絵になる」のだ。
攻殻機動隊のような世界観には文章よりも映像という媒体が適しているのと同じく、ハーモニーも視覚的に訴えかける媒体との相性が良かったのだと思う。

オチも原作通りのやるせない感覚がそのまま残されていて個人的には好きだった。
見せかけの幸せを疑うのが主題の作品なので、安易に見せかけのハッピーエンドに改変されなくて良かったと思う。

EDで流れたGhost of a smileもいい曲だった。
ryoさんの曲はメルトとか君の知らない物語みたいなサビで一気に盛り上がる曲も好きだけど、個人的にはギルクラのOPみたいな、サビのあたりでだらっと音程が下がるかんじの曲がすごく好き。上手く伝えられないんだけど、バンプのハルジオンとか、東京レイウンズのOPとか、相対性理論スマトラ警備隊とかそういう曲調の。分かる?分からないかなあ


あと、屍者の帝国はけっこうホモホモしい描写が多かったが、今作は百合百合しい描写が目に付いた。
観客は屍者の帝国は女性が多く、ハーモニーは男性が多かった。
どうでもいい話だが。