同情無き同情は同情と呼ばず、同情する同情を同情と呼ぶ

タイトルは
人造昆虫カブトボーグV×V 第7話「涙の素パスタ!オーバー・ザ・レインボー」より



最近は、自分の本棚の眠っている埃を被った文庫本をおもむろにチョイスして再読することに嵌っている。
あれ、ボクこんな本読んだことあるっけ、となる本はさすがにないけれど、読破した記憶だけが残っていて肝心の中身を全く覚えていない本が結構あるので、予想以上に新鮮な気持ちで読めるのが楽しい。

昨日は中学生時代に大好きだったスカイ・クロラシリーズをひたすらに読み続けていた。
中学生の頃は森博嗣村上春樹が好きで結構読んでいたのだが、今思えば一人称で主人公が思索に耽る系の作品が好きだったのかな、とか思ったりする。

村上春樹なんかは抽象的な文章が多すぎて、当時の自分には正直物語の本筋を追っかけることすら出来なかったわけだが(てか正直今でもさっぱりわかんね)、物語の所々に綺麗な比喩が散りばめられていて、大好きなセンテンスを暗唱するのが当時の自分にとっての村上春樹の楽しみ方だった。

村上春樹の作品は、簡素で無味乾燥な文章と意味深で斬新なストーリーという相反する二つの要素から成り立っているので、彼の作品に好き嫌いが分かれるのはそのあたりに原因があるのではないかと個人的には思っている。
個人的には文章はシンプルで好きだが、逆にストーリーは電波すぎて嫌い。

ボクの他にもそういう考えを抱いている人は結構いると思うので、そういう人には翻訳者としての村上春樹をオススメしたい。
有名所だと、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」あたりはかなり好きな作品。
清水俊二訳も素晴らしい出来だと思うけど、村上春樹の斜に構えた文章が作品を通じてハードボイルドな雰囲気を醸し出すことに成功していると思うので、個人的にはこっち押し。
クールかつハードボイルドな科白が目白押しな作品なので、学生時代に夕暮れ時の図書室で黄昏れるのが好きだった系男子には超オススメ。