迷宮のドールズ

という作品が面白い。今年読んだ作品のなかで5指に入るかもしれない。


迷宮のドールズ

人間と獣の特徴を持った少数の亜人が共生する日本。冒険をなりわいとする者たちは、日本各地に点在するダンジョンに挑み、日々モンスターと戦っている。
猫亜人(ワーキャット)の少年・シオンは、若いながらに腕の良い冒険者。過去にトラウマを持ち、他人とはあまり関わらずソロの冒険者として、生きていくだけの金を稼ぐため、ダンジョンに潜り続けている。
そんなある日、中学の同級生だった少女・紅子と偶然再会する。その出会いから、シオンの生活は変わっていく。過去と向き合い、仲間を得て戦い、少女の願いを叶えるために、亜人の少年が成長していく物語。

現代ロウファンタジーのギルド物というそんなに珍しくない設定の作品だけど、別の似たような作品群と比べると暗い展開が多めで、ファンタジーでありながらも現実感を大切にして書かれている感じがして、その辺が個人的にツボ。
主人公は人間ではなくて亜人間(ワーキャット)で、人間からのイジメで中学校を不登校になり、そのまま冒険者として働いている。冒険者は割のいい仕事だが、常に命の危険を隣り合わせの職業で、けれども亜人間はホワイトカラーの仕事に就くのが難しいので冒険者にならざるを得ない、という社会的背景がある。現実にも人種の違いによる職業差別というものは残っているけれど、それを亜人間と人間というメタファーで皮肉っているのがなかなか考えさせられる。
と、ここまで言っておきながら、本作は別に社会的風刺を目的とした作品ではなくて、現実世界に冒険者ギルドがあったらこんな感じなんだろうな~という感じの面白さ。
キャラクターもしっかり立っているし、地の文も結構読ませるので、適当なラノベよりも完成度は断然高い。こういう作品がもっとランキングに挙がれば良いのになあ、と思っているが、なろうのランキングはコテコテの俺ツエー系作品がのさばっているので、まあ……無理だと思われる。





ところで以前

小説家になろうのお気に入り小説についてまとめてみた - とある社会人の外付けハードディスク
で取り上げた「俺より強いあの娘を殴りに行く」が書籍化決まったらしい。
構成が非常にしっかりしていて個人的には超好みの作品なのですが、なろうではそこまで人気という訳でもない作品だったので、書籍化にはびっくりしました。
アニメにしたら結構盛り上がりそうな作品なので、なんとかそこまでたどり着いてほしいです。

ボクも最近は全然小説とか書いていないのですが、こういうの聞くとちょっと頑張ろうかなーって思うのです。単純。